結婚式や成人式などで着物を着る際に、なにをそろえておく必要があるのかわからず悩んでいる人も多いのではないでしょうか。
今回は着付け初心者の人に向けて、着物を着る際に必要なものをピックアップしたうえで、各アイテムの特徴を解説していきます。着物の着付けに感じている不安を解消できるので、ぜひご一読ください。
着物を着る際に必要なものリスト一覧表
まずは、着物を着る際に必要なものを一覧表で確認してみましょう。
【着物を着る際に必要なもの一覧表】
外から見えるパーツ ・着物 |
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道具や小物 ・肌襦袢(はだじゅばん) |
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着物を着る際に必要なものは、種類が大変多く混乱してしまう人も少なくありません。ここからは、上記表でまとめたように「外から見えるパーツ」と「道具や小物」の2つに分けて解説していきます。
着物を着る際に必要なもの(外から見えるパーツ)
着物を着る際に必要なものの中から「外から見えるパーツ」に絞って、各アイテムの特徴をご紹介します。
着物
着物にはさまざまな種類があるため、TPOに合わせて、適した種類を選ぶようにしましょう。
<着物の種類>
- 打掛
- 振袖
- 黒紋付
- 黒留袖
- 色留袖
- 訪問着
- 付け下げ など
結婚式や卒業式、入学式、七五三など、目的によって適した着物の種類は大きく異なります。時・場所・場合に応じて、最適の着物を準備しておくことが大切です。
長襦袢(ながじゅばん)
長襦袢とは、着物の下に着る、肌着とは異なる薄い素材のことを指します。袖の間からチラリと見える程度ですが、着物を着るうえでアクセントのひとつになる重要な要素のひとつです。振袖と合わせる場合は、長襦袢が飛び出さないように、肩裄(肩から腕の長さ)と袖丈(袖の長さ) のバランスを見て、適したサイズのものを準備する必要があります。
半衿(はんえり )
半衿とは、長襦袢の襟に必ず縫い付ける衿のことです。長襦袢に半衿を取り付けることにより、着物の印象を大きく変える効果が期待できます。
<半衿による効果例>
- 白の無地の半衿:すっきりした印象を演出
- 刺繍が入った衿:華やかな印象を演出
白の無地の半衿が一般的ですが、振袖や卒業袴を着る際には、おしゃれかつ華やかな印象を与えられる刺繍が入ったタイプのほうが適しているでしょう。
帯
着物を着る際は、締める帯の種類によって全体の格が変わってきます。
<帯の種類>
- 袋帯:フォーマルタイプの着物に適している
- 名古屋帯:カジュアル向けの着物に適している
- 半巾帯:浴衣などに適している
フォーマルな場面では袋帯を、カジュアルな場面では名古屋帯を締めることでシーンに適した格に対応することが可能です。
重衿(かさねえり)・伊達衿(だてえり)
重衿・伊達衿とは、振袖と長襦袢の間に入る、飾り衿のようなものを指します。重ね着しているように見える点は半衿と同じですが、まったく別のアイテムであることには注意しましょう。単色タイプから、2〜3色の華やかなタイプまで、幅広く存在しており、選び方によって、見た目の印象に大きな影響を与えられます。
帯締め(おびじめ)
帯締めとは、帯を崩れないようにするための帯真ん中に入る紐状のパーツのことです。帯締めには「平組」「丸組」「角組」の3つの格があり、着物に合わせて使い分けるのが一般的です。
<帯締めの種類の例>
・高麗組(こうらいぐみ):組目が細かく、金糸や銀糸を使用
・笹浪組(さざなみぐみ):組目がさざ波のように見える
3,000以上もの種類があるため、格やデザインに合わせて、着物に適した帯締めを選ぶようにしましょう。
帯揚(おびあげ)
帯揚とは、帯を支える帯枕の紐を包んで隠すために、帯上部につける飾りのことです。生地や結び方の種類が豊富なため、着物の格やTPOによって適したタイプを選ぶことが大切です。
【帯揚げの種類】
生地の種類 ・綸子(りんず) |
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結び方の種類 ・一文字結び |
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帯締めや重衿とのバランスから適した帯揚を選び、自分らしいコーディネートを実現させましょう。
草履(ぞうり)・下駄(げた)
着物には、草履と下駄などの履物も重要な要素のひとつです。広い用途で利用するのであれば草履を、気軽に履くのであれば下駄が適しています。また、草履や下駄には、さまざまなデザインがあるため、以下のように、着物を着るシーンに応じて雰囲気の合うタイプを選ぶといいでしょう。
<草履の選択例>
- フォーマルな場面:金・銀・白色ベースで高さ5cm以上の草履
- カジュアルな場面:好みの色と高さの草履
草履や下駄を履く際は、足を痛めないために鼻緒の調整も求められます。歩きやすさを重視するのであれば、足の甲を傷めにくい鼻緒が太めのタイプを選ぶのがおすすめです。
髪飾り
女性で着物を着る際は、アクセントとして髪飾りを活用するのもひとつの方法です。
<髪飾りの活用例>
- パールコーム:華やかな印象を演出したい場合
- かんざし:すっきりした印象を演出したい場合
着物の色だけでなく、顔や全身とのバランスを見て、好みのタイプの髪飾りを採用すると後悔しにくいでしょう。
着物を着る際に必要なもの(道具や小物)
続いて、着物を着る際に必要なものとして、道具や小物の特徴をご紹介します。
肌襦袢(はだじゅばん)
肌襦袢とは、「きものスリップ」と呼ばれることもある、長襦袢の下に着る肌着(下着)のことを指します。
<肌襦袢の形状>
- 上下が分かれた「セパレートタイプ」
- 上下がつながった「ワンピースタイプ」
- 裾除け一体「スリップタイプ」
素肌に直接触れることになるため、素材によって「吸汗」「防寒」「防汚」などの役割が期待できるのも特徴的です。
裾除け(すそよけ)
裾除けとは、「蹴出し(けだし)」と呼ばれることもある、下半身に着る肌着(下着)のことを指します。
<裾除けの形状>
- 腰巻タイプ:腰に巻いて使用
- パンツタイプ:ズボンのように履いて使用
- スカートタイプ:スカートのように履いて使用
肌襦袢と一緒に着用することが一般的で、こちらも素材によっては「吸汗」「防寒」「防汚」などの役割が期待できます。
衿芯(えりしん)
衿芯とは、衿の形を整えるサポートの役割を持つ、長襦袢の襟に入れて使用する芯のことです。
<衿芯の種類>
- プラスチックタイプ:一般的に使用されるタイプ
- メッシュタイプ:夏でも涼しいタイプ など
着物は衿芯が入っていない状態だと、衿がよれてしまいやすいため、美しく着用するためには、大変重要なアイテムのひとつと言えます。
腰紐(こしひも)
腰紐とは、着崩れを防ぐために、着付けの際に腰部で締め付ける紐のことです。腰紐を締めることで、前がはだけないようになるため、幅広い着用シーンで活用できます。
<腰紐の活用場面>
- 長い長襦袢をたくし上げるために使用
- 着付け中の仮押さえとして使用
- 袖をすっきりとまとめる「たすき掛け」を行う際に使用 など
腰紐は着付け師や活用シーンによって、必要本数が変わって着やすい点も特徴的です。
コーリンベルト(着物ベルト・着付けベルト)
コーリンベルトとは、両端にプラスチックのクリップがついたゴム紐状のベルトのことです。コーリンベルトを用いて、着物の上前の衿と下前の衿をはさむことで、衿元がホールドされ、着崩れを防止できます。体型にあわせて紐の長さを調節できるため、緩む心配も締め付けられるリスクも少ないのが特徴です。
伊達締め(だてじめ)
伊達締めとは、腰紐を安定させる役割を持つ、着崩れ防止アイテムのことです。一般的に、長襦袢と着物の胸元に各1本ずつの計2本を使用します。
<伊達締めの種類>
- ゴム:通気性は悪いが安価
- ポリエステル:使い心地が良く、やや割高
- 正絹:通気性と耐久性に優れているが割高
価格は高くなりますが、耐久性が高い正絹タイプをそろえておけば、一生ものとして使用することが可能です。
帯枕(おびまく ら)
名古屋帯を結ぶ際、背中につくるふくらみのことを「お太鼓」と呼びます。帯枕とは、このお太鼓を形成するために用いるアイテムのことです。
<帯枕の種類>
- 紐タイプ:帯枕の両端に紐がついている従来タイプ
- ガーゼタイプ:全体をガーゼが包んでいる初心者でも使いやすいタイプ
帯枕は種類が豊富で、着物の種類や年齢によって使い分けができます。お太鼓を華やかに演出したい場合は「大きくて分厚いタイプ」を、控えめに見せたい場合は「小さくて薄めのタイプ」を選ぶのが一般的です。
帯板(おびいた )
帯板とは、帯のシワ防止と、形を整えるために、伊達締めと帯の間に入れて使うアイテムのことです。
<帯板の種類>
- 前板(まえいた):帯を結ぶ際に、体の前面に入れて使用
- 後板(うしろいた):結びを美しく見せるために、体の背面に入れて使用
帯板には長さや幅など、さまざまな種類があり、着物を使用するシーンによって使い分けます。フォーマルな場面では「幅広で長いタイプ」を、カジュアルな場面では「幅狭で短いタイプ」を使用するのが一般的です。
足袋(たび)
足袋とは、着物を着る際に履く、指先が二股に分かれた靴下のようなものを指します。デザインや素材が豊富なので、着物の格や季節に合わせて選ぶといいでしょう。
<足袋の着用例>
- 礼装時:白色の足袋
- 普段着:色や柄がついた足袋
足袋が足のサイズに合っていない場合、足を痛める原因になってしまう恐れがあります。草履を履く際は、普段履く靴のサイズと同じ足袋を選ぶようにしましょう。
着物クリップ(和装用クリップ)
着物クリップとは、衿元や帯結びをきれいに整えるために、襦袢と着物を留めておくクリップのことです。
<着物クリップの種類>
- 外し忘れ防止のために、鈴が付属しているタイプ
- 親指に力を入れやすいカーブ型タイプ など
特大・大・小の3つのサイズが展開されていますが、一般的には、大サイズを使用するケースが多いです。
三重紐(さんじゅうひも)
三重紐は振袖専用のアイテムで、帯の結びを豪華にするために使用されるケースが多いです。一見すると、一本の紐のように感じるのですが、中心が三つ又のゴムになっており、凝った帯結びを可能にします。なお、振袖のほかにも、訪問着の帯を飾り結びする際に使用される場合もあります。
ショール
首元にショールを巻くことで、見た目の向上や防寒の効果が期待できます。着物専用のショールのほか、デザインが合うのであれば、普段使用する洋服用のショールを用いるのもいいでしょう。
<ショールの種類>
- すっきりシルエットのショール
- ベルベット生地で高級感のあるショール など
羽織る際は、肩から優しくかけて、着付けた着物が崩れないように注意が必要です。
補正用のパッド・タオル
着姿をきれいに見せるために、補正用のパッドやタオルを準備しておくと重宝します。人間の体は、くびれや腰などの凹凸があるため、どうしても着物にシワやたるみが生じてしまいます。体が着物にフィットするように、補正用のパッドやタオルでサポートをすれば、体の曲線が減り、シワやたるみを軽減できるわけです。体型によって必要枚数は異なりますが、フェイスタオルを複数枚用意しておけば十分対応できるでしょう。
着物ブラジャー(和装 用ブラジャー)
女性で着姿をより美しく演出したい場合は、胸の凹凸を押さえるために、着物ブラジャーを準備しておくのがおすすめです。和装用ブラジャーがない場合は、スポーツブラなどでも代用できますが、ワイヤー入りのブラジャーは、ワイヤーが肌に当たって、息苦しくなるリスクがあるため、基本的には避けておいたほうがいいでしょう。
着物用バッグ
着物を着る際は、普段使っているバッグではなく専用タイプを別途用意しておくことをおすすめします。
<着物用バッグの種類>
- クラッチバッグ
- ビーズバッグ
- 利休バッグ
- がま口バッグ
- かごバッグ
- 巾着
フォーマルシーンで着用する際は、金色や銀色を基調としたバッグを使用するなど、着物の格やTPOに合わせて使い分けるようにしましょう。
着物を着る際に最低限必要なもの
必要なものをすべてそろえる余裕がない人に向けて、着物を着る際に最低限必要なアイテムをまとめました。
<着物を着る際に最低限必要なもの>
- 腰紐
- 衿芯
- 帯板
- 長襦袢
- 裾除け
- 伊達締め
- 帯揚、帯締め、帯枕(名古屋帯や袋帯を締める場合)
着物の種類によっても異なりますが、予算や準備する時間に余裕がない場合でも、最低限上記のアイテムさえそろえておけば、着物を着ることは十分可能ですよ。
初心者であれば着付け セットもおすすめ
必要なものを準備する手間が気になる人や、初心者で用意の仕方がわからない人には、着物を着る際のアイテムが一通りまとめられている「着付けセット」がおすすめです。
<着付けセットの内容>
- 肌襦袢
- 足袋
- 腰紐
- コーリンベルト
- 伊達締め
- 帯枕
- 前板
- 衿芯
- 着物クリップ など
内容は購入場所などによって大きく異なるため、事前に確認したうえで、着ていくシーンに適した着付けセットを購入するようにしましょう。
着付けに必要なものをお探しなら会津若松市の呉服店「きもの大善屋」まで
今回は着付け初心者の人に向けて、着物を着る際に必要なものを解説してきました。着物を着る際は、長襦袢や帯、草履などの外部から見えるものをはじめとして、肌襦袢や衿芯などの小物を幅広く準備しておく必要があります。ただし、最低限必要なものだけをそろえたり、着付けセットを購入したりすれば、初心者でも着物を着ることはそれほど難しくはありません。
「きもの大善屋」は、新品の販売はもちろんのこと、着物のレンタルにも対応しております。また、着物のリフォームに対応していたり、着付け教室を開催したりと着物好きの方にとってはうれしい要素も満載です。着物の着付けに必要なものでお困りの方は、まずは有限会社大善屋呉服店に一度お問い合わせください。