三重紐とは?用途や使い方、代用品について解説

着物の着付けを始めようと思っても、「アイテム数が多すぎて混乱する」「どれをどう使うのかわからない」など、疑問がいくつも出てくるでしょう。そこで今回は、着付けに必要な「三重紐」について解説します。

三重紐の用途や仕組み、使い方(結び方の手順)まで解説するので、着付けに疑問・不安のある方はぜひ参考にしてみてください。着物は着用・補助用のアイテム数が多いものの、それぞれの仕組みを理解すれば誰でも着付けができます。

一つずつクリアするためにも、まずは三重紐への理解を深めていきましょう。

三重紐とは?用途や仕組みについて

三重紐とは、式典やお祝いの席で着用する袋帯の変わり結び(飾り結び)に使われる仮紐です。三重紐を使うことで、袋帯を羽根のように美しく形成・固定できます。

三重紐なしでも形を作れますが、テクニックやノウハウが必要なのでおすすめできません。次項では、三重紐の用途や仕組みについて詳しく解説します。

三重紐の用途

三重紐の用途は、袋帯を飾り立てた形で結ぶことです。たとえば、結婚式や成人式などで帯を羽根・リボンなどの形に飾り立てる際、三重紐を使ってきれいに形成・固定します。

ただし、三重紐はあくまでも着付け用の道具であり、装飾品ではありません。着付けの際は、三重紐が表に出ないよう隠すように結ぶ(帯の中に隠す)必要があります。

三重仮紐との違いはない

三重紐と三重仮紐は同じ意味です。ほかにも、トリプル仮紐やトリプル紐といった言葉が使われるので、購入の際はどの名称の商品を選んでも問題ありません。

三重紐の仕組み

三重紐は、中央部分に3本のゴムが重ねられ、その両端に同じ幅の紐が取り付けられています。各ゴムの間に帯で作った羽根やリボンなどを挟み込み、形を固定する仕組みです。

ゴム製なので、着用時の着付けも手軽に行えるほか、着物や帯を傷めるリスクも軽減されます。

三重紐の使い方

三重紐の使い方について、基本・バリエーションの両方を解説します。

基本的な使い方

三重紐の基本的な使い方を、変わり結び(羽根を作る)の手順を例に解説します。

<変わり結びの手順

  1. 帯の後ろ側、上部から身体の前に向かって紐をとおす
  2. 帯の上(中央部分)で三重紐を結ぶ
  3. 帯の後ろ側で羽根を作る
  4. 片方の羽根をゴムの手前、1本目にとおす
  5. もう片方の羽根を2本目のゴムにとおす
  6. 紐が×印の形になることを確認する
  7. 正面の紐(結び目のある部分)を帯の中に入れる

帯の中に入れた状態で三重紐を縛ってしまうと、紐がきつく締まりすぎてしまい、後から苦しくなる恐れがあります。帯の上に結び目を作ることで、紐を帯の中へ入れたとき、締まりすぎる状態を防止できます。

また、上記の手順はあくまでも一例であり、変わり結びのバリエーションは多種多様です。次項では、格バリエーションの結び方も解説するので、自分なりの変わり結びを作ってみましょう。

三重紐を使った変わり結びのバリエーション3パターン

三重紐を使った、変わり結びのバリエーションを3パターン解説します。

花結び

花結びとは、帯を花のような形に整え、後ろ側でまとめる結び方です。三重紐を使った具体的な手順を見ていきましょう。

<花結びの手順

  1. 手先の長さを40cmほど取りつつ、帯を2巻きする(この段階で帯を締めておく)
  2. たれを内側から三角の形になるよう折り上げ、たれが上になるよう結ぶ
  3. 手先をたれと逆になるよう流し、クリップなどで留める
  4. 三重紐を帯の上部に付けて結ぶ
  5. たれ先を筒状に3回丸め(花芯を作る)、先から15cmほどの箇所にゴムをかける
  6. たれ先が花びらの形になるよう折り曲げる(花びらの長さは約20cm)
  7. 結び目の根元に届くまで花びらを作り、ゴムで留める
  8. 三重紐を花の根元にかける
  9. 三重紐の2番目のベルトに下から手先を入れ、花の根本を包む
  10. 三重紐の3番目(外側)のベルトに、余った手先をくぐらせて巻き付ける
  11. 手先の裏側を広げつつ、花の形を整える
  12. 帯を両手で持ち、花が背中にくるよう回す
  13. 三重紐を帯の中に収めて完成

手順は複雑ですが、三重紐に花を固定することで、形を保ったまま変わり結びを固定できます。

ふくら雀

ふくら雀とは、雀が羽根を膨らませたような見た目がモチーフとなっており、古典的かつ女性らしさを演出できる結び方です。三重紐を使った、ふくら雀の結び方について見ていきましょう。

<ふくら雀の結び方

  1. 帯板を背中にあてつつ、柄止まりを背中心にする
  2. 帯を2巻きし、たれ先が上にくるよう帯を結ぶ(手先は手の幅4つ分くらいの長さ)
  3. たれが肩から少し出るくらいの高さで羽根を作る
  4. 羽根をゴムで固定して、三重紐で押さえる
  5. 反対側も同じように、羽根を作ってゴム・三重紐で固定する
  6. 左右の羽根が交差する箇所に帯枕をあてて結ぶ(同時に三重紐も外す)
  7. 帯枕に帯揚げをかけて結ぶ
  8. たれを使い、帯枕と同じ幅で箱ひだを作る
  9. 箱ひだに紐をかけ、帯の羽根と背中の間にとおして結ぶ
  10. 帯の下でたれを折り曲げ、お太鼓を作る
  11. 帯の中心を内側へ入れ込み、お太鼓を広げて完成

最後は全体を整えつつ、雀が羽根を広げたような形に仕上げましょう。

リボン

浴衣などラフな着物の場合、帯をリボン風にアレンジできます。三重紐を使ったリボンアレンジの手順を見ていきましょう。

<リボンアレンジの結び方

  1. 帯の手先を約60cm残し、肩にかけておく
  2. 残りの帯を身体に2巻きして、後ろから斜め上に2回折り上げる
  3. たれ先を帯の上に重ね、手先とひと結びする
  4. 結び目の輪を保つよう調整する(ここでリボンの縦の目ができる)
  5. 手先を横に広げ、肩幅程度の長さに畳む
  6. 広げた手先でリボンの羽根(ひだ)を作る
  7. 羽根を結び目の輪にとおし、たれ先を下に引いて引き締める
  8. リボンの結び目の下に三重紐を巻いて縛る
  9. たれ先を横にして、肩幅より広い幅で畳む
  10. 畳んだ束の真ん中を三重紐のゴムに挟む
    11.三重紐にかぶせるように、束の上側を下にたらして完成

上記の手順により、束の上にリボンが付いている形状に結べます。個性的なデザインで、浴衣に華やかさをプラスできるでしょう。

三重紐がない場合はゴム紐・クリップで代用

三重紐がない場合は、ゴム紐やクリップを代用することで、羽根の形を整えられます。たとえば、作った羽根の結び目をゴムで留めたり、羽根をクリップで固定したり、各所を固定するだけで帯を形作れます。

もちろん、帯の結び方・形の整え方を心得ていることが前提なので、あらかじめ「<h2>三重紐の使い方 </h2>」などを参考に結び方を理解しておきましょう。

着物の着付けをお考えの方は会津若松市の呉服店「きもの大善屋」まで

三重紐は、袋帯を変わり結びする際、着付けの補助用に使う道具です。装飾品ではないため、実際に着付ける際は帯の中に隠す必要があります。

また、三重紐を帯に取り付ける際、きつく結びすぎるのは控えましょう。どの変わり結びにおいても、着物を着用中に苦しくなる恐れがあります。ポイントは、帯の上から三重紐を結んでおき、後から帯の中に隠すことです。

着物の着付けに不安のある人は、ぜひ会津若松市の呉服店「きもの大善屋」へ足をお運びください。当店では無料の着付けを行っているほか、着付け教室も開催しています。ご自身で着付けられるよう、丁寧に指導させていただきますので、着物への理解を深めたい方も歓迎しております。

大善屋ごあんない

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