結婚式に着物で参列したい！親族、友人など立場別の選び方をご紹介

大切な家族や友人の結婚式に招待してもらったら、上品で華やかな着物で参列してみませんか。結婚式で着用できる着物には黒留袖や色留袖、訪問着などさまざまな種類があり、立場によってふさわしい着物が変わります。

そこで今回は、結婚式で着る着物の種類について立場別にご紹介します。結婚式で着物を着る際の注意点や立ち振る舞いのポイントについても解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。

結婚式で着る着物の基礎知識

結婚式で着る着物を選ぶ際は、着物に関する基礎知識を身につけておくと安心です。ここからは、格や紋の数など、着物にまつわる基本的な知識をご紹介します。

着物の格を理解しよう

着物は格の高い順から、「礼装（第一礼装）」「略礼装（準礼装）」「外出着」「普段着」という種類があります。それぞれの主な種類は、以下の通りです。

礼装（第一礼装）	白無垢、色打掛、本振袖（大振袖）、黒留袖、喪服など
略礼装（準礼装）	色留袖、訪問着、付け下げ、振袖、色無地など
外出着	付け下げ小紋、小紋など
普段着	紬、浴衣など

結婚式のシーンでは、白無垢と色打掛、本振袖（大振袖）は花嫁の衣装です。そして紬、浴衣などの普段着はカジュアルすぎるので、結婚式で着用することはほとんどありません。それ以外の着物は、親族や友人、職場の同僚などのゲストが着用できます。

結婚式のスタイルやお呼ばれする立場に合わせて、適切な着物を選びましょう。

紋の数にも注目しよう

着物の格と合わせてチェックしたいのが、紋の数です。一般的に、紋の数が多いほど格が高くなるとされています。代表的な紋の数と種類は、以下の通りです。

一つ紋	背紋のみ
三つ紋	背紋、袖紋
五つ紋	背紋、袖紋、抱紋

背紋は、背縫いの真ん中に入れる紋のことです。袖紋は両袖の後ろにひとつずつ入れる紋のことで、抱紋は両胸にひとつずつ入れる紋を指します。

黒留袖には、必ず五つ紋が入ります。色留袖や訪問着にも紋の入った着物がありますが、着物は紋の数によって格が左右されます。したがって、同じ結婚式に職場の先輩や上司が着物を着ていく場合は、紋の数で格が上になってしまわないように注意が必要です。

また紋の種類は多岐にわたりますが、自分の家の家紋がわからない方は少なくありません。そのような場合は、誰でも使える「通紋」を使用しましょう。レンタル着物の場合も、通紋が使用されていることがほとんどです。

未婚・既婚かを確認しよう

女性の場合は、未婚か既婚かによって着用できる着物が変わります。

黒留袖	既婚女性のみ着用可能
色留袖、訪問着、付け下げ、色無地	未婚・既婚どちらでも着用可能
振袖	未婚女性のみ着用可能

また年齢によってもふさわしい着物は変わってくるので、着物を選ぶ際の基準にしてみてください。

【立場別】結婚式で着る着物の種類

結婚式のお呼ばれで着る着物の種類は、招待された立場によって異なります。ここからは、結婚式で着る着物の種類について立場別にご紹介します。

新郎新婦の母親、既婚の親族：黒留袖

新郎新婦の母親や祖母、既婚の姉妹など、近しい間柄の親族は黒留袖を着るのが基本です。五つ紋の黒留袖は既婚女性の第一礼装とされており、友人や同僚などの親族以外の方が着用するのはマナー違反とされています。

近年では、黒留袖を着るのは母親のみというケースが一般的です。また、姉妹や叔母が未婚の場合も珍しくないため、既婚者しか着られない黒留袖ではなく、未婚・既婚を問わずに着られる色留袖を着る方も増えています。

黒留袖の模様は、大きいほうが若い方向けになります。また慶びを願う吉祥文様の中でも、亀や鶴、松竹梅など格のある柄を選べば、より格調高い印象を与えられるのでおすすめです。

未婚の親族：色留袖

色留袖は、地模様がなく地色に色がついており、裾周りにのみ柄がある着物のことです。紋が1～3つの場合は準礼装となり、5つの場合は黒留袖と同等の正礼装となります。黒留袖と異なり未婚女性でも着用できるので、未婚の親族向きの着物といえます。

色留袖は友人ゲストも着られますが、紋が多いと格が高くなってしまうので、心配な場合は友人が着るのは避けるのが無難です。もし友人で色留袖を着たい場合は、訪問着と同等の一つ紋や三つ紋を選びましょう。

20代の未婚ゲスト：振袖

20代の未婚女性が結婚式に招待されたときは、礼装である振袖がおすすめです。華やかで会場に彩りを添えてくれる振袖は、新郎新婦や親族にも喜んでもらえるでしょう。

振袖には、以下の3種類があります。

• 本振袖（大振袖）
• 中振袖
• 小振袖

袖が長いほど格式が高くなり、もっとも格の高い本振袖（大振袖）は花嫁が着る衣装となります。花嫁が本振袖を着る場合は、お呼ばれゲストは格を下げて中振袖を選ぶのがマナーです。

また振袖は、一般的に20代の女性が着る着物とされています。厳密に年齢制限があるわけではありませんが、長くても着られるのは30代前後までを目安に考えておくと良いでしょう。

親族、友人、職場の同僚：訪問着

訪問着は準礼装や略礼装に分類され、未婚・既婚問わずに着用できます。友人や職場の同僚が結婚式で着る着物の定番であり、結婚式だけでなく、入学式や卒業式、お宮参りなどでも活躍します。

結婚式で訪問着を着る際は、華やかさがありつつも派手すぎないデザインのものを選ぶのがおすすめです。訪問着も紋をつければ格を上げられますが、最近では親族でも無紋を選ぶ方が増えています。友人や同僚として参列するなら、無紋の訪問着でまったく問題ありません。

親族、友人、職場の同僚：付け下げ

付け下げは、訪問着に準ずる略礼装です。訪問着の模様付けを簡略にした着物で、友人や職場の同僚ゲストに適しています。着物全体に模様が入っていますが、訪問着よりも控えめな柄のものが多いです。

紋がひとつの付け下げは、訪問着と同等の格になります。未婚・既婚に関係なく着用できるので、結婚式のお呼ばれ着物としておすすめです。

親族、友人、職場の同僚：色無地

色無地は、黒以外の色で染め上げた無地の着物です。紋がひとつだと略礼装になるので、結婚式にふさわしい装いになります。また三つ紋付きは、訪問着と同格以上になるため、親族の結婚式でも着用可能です。

色無地は着物に模様が描かれていないので、帯で華やかさをプラスするのがポイントです。金銀糸を用いた袋帯を選び、二重太鼓結びにしましょう。

結婚式で着物を着る際のマナー・注意点

結婚式で着物を着る際は、押さえておくべきポイントがいくつかあります。ここからは、結婚式で着物を着るマナーや注意点をご紹介します。

帯の格は着物に合わせる

着物だけでなく、帯にも礼装にふさわしい格があります。基本的には着物の格と同等か、格上の帯を選びましょう。礼装や準礼装（略礼装）には袋帯を使うのが一般的で、結婚式なら金糸銀糸が用いられたきらびやかな織りの帯がおすすめです。

帯の柄は、亀甲、鶴、松竹梅、熨斗などの吉祥柄が適しています。結び方は、華やかな二重太鼓結びがおすすめです。

着物のNGカラーを避ける

お呼ばれゲストが着物を選ぶ際、以下のような色は避けましょう。

避けるべき色	理由
白	花嫁と被るため
黒	親族と間違われやすいため
赤、オレンジ	花嫁の色打掛と被る可能性があるため

 反対に、結婚式にお呼ばれされたときにおすすめの着物の色は、年代別に以下の通りです。

年代	おすすめの色
20～30代	淡いピンク、サーモンピンクなどさわやかで明るい色
40代	淡い水色やクリーム、ラベンダーなど落ち着いた色
50代k～	薄紫や明るいグレー

着物の柄にもこだわる

着物を選ぶ際は、色だけでなく柄にもこだわりましょう。結婚式では、以下のような柄の着物はあまりおすすめできません。

避けるべき柄	理由
桜	散ることを連想させるため
椿	花が丸ごと落ちる様子が不吉なため
梅	花が散ることを「こぼれる」と表現するため
下り藤	下がることをイメージさせるため
蝶	まっすぐ飛ばない様子から浮気を連想させるため

 上記の柄が大きく描かれたものは避けるのが無難ですが、他の柄と一緒に描かれているのであれば、そこまで気にする必要はありません。柄について過度に神経質になる必要はありませんが、気にされる方もいるかもしれないことを念頭に置いておくと良いでしょう。

反対に結婚式の着物におすすめの柄としては、昔から縁起が良いとされてきた「吉祥文様」が挙げられます。吉祥文様には、以下のような柄があります。

松竹梅、亀	生命、長寿を連想させる
鶴	つがいを持つため、夫婦で添い遂げるというイメージがある
扇	末広がりの形状から繁栄、開運を連想させる

吉祥文様の他に、昔から公家の装いや調度品の装飾などに使われてきた有職文様もおすすめです。有職文様には、ひし形の中に花びらが4枚描かれた「花菱」や、亀の甲羅のように六角形を並べた「亀甲文」などがあります。

アクセサリーは基本的につけない

結婚式で着物を着る場合は、結婚指輪と髪飾り以外のアクセサリーはつけないのがマナーです。ネックレスやピアス、ブレスレットも外しましょう。髪飾りは、着物や帯を引き立てるような色柄、形のものを選ぶのがおすすめです。

結婚式にふさわしい髪型にする

結婚式で着物を着るときは、洋服と同様にヘアセットが必須です。ショートヘアの場合は、襟足をヘアピンでまとめて髪飾りをつけたり、サイドの髪の毛を耳にかけたりするときちんと感を演出できます。

ボブヘアの場合は髪をまとめなくても問題ありませんが、食事やお辞儀の際に髪が顔にかからないよう、編み込みなどでスッキリさせるのがおすすめです。ミディアムやロングヘアの場合は、アップスタイルが基本。シニヨンや編み込みにすれば、華やかさとフォーマル感を兼ね備えたスタイルに仕上がります。

バッグはできるだけ小ぶりのものを選ぶ

結婚式で着物を着ていく場合、礼装用で小ぶりのバッグを持ちましょう。ただし小ぶりのバッグに荷物をパンパンに詰め込んでしまったら、だらしない見た目になります。そのため薄手のハンカチや小さめの財布など最小限の荷物を入れて、なるべくコンパクトに収まるようにしましょう。

ネイルをするならシンプルを心がける

着物を着る際は、基本的にはネイルを塗るのは避けるのが無難です。とくに親族として参列する場合は、できるだけシンプルに仕上げるためにもネイルはやめておきましょう。

ただし爪の色や状態が悪い場合は、指先を美しく見せるためにネイルをすると良いでしょう。ネイルをする際はトップコートのみ、または薄ピンクや肌色などの目立たないシンプルな色を塗ってください。

また爪の先端だけに色を塗るフレンチネイルは、上品で控えめな印象を与えられ、着物によく似合います。色は定番のホワイトの他、ベージュやピンクなどやさしく淡い色味がおすすめです。爪先は長く伸ばさず、尖らせないように整えてください。

コートの格にもこだわる

式場への移動時などに使うコート（羽織物）にも、着物と同じく格があるので注意が必要です。着物の上に羽織るコートには、前部分が開いている「羽織」や「道中着」、前部分を留められる「道行（みちゆき）」などの種類があります。

結婚式で着る着物などの礼装に合わせられるのは、道行です。

着物で結婚式に参列するときの立ち振る舞いのポイント

大切な人の結婚式で着物を着るなら、上品な立ち振る舞いにも気をつけましょう。ここからは、着物での立ち振る舞いで美しく見えるポイントをご紹介します。

基本の姿勢

せっかく美しい着物を着ても、猫背になってしまっては台無しです。美しい姿勢を保つためには、常に胸を斜め前に引っ張られているように張って、顎を引くという2点を意識してください。これだけでも、凛とした上品な雰囲気を演出できます。

とはいえ、長時間着物を着ていると締めつけがきつくなり、ついつい姿勢が崩れてしまうかもしれません。式の間ずっと2点を意識するのがベストですが、難しい場合は写真撮影のときだけでも良い姿勢を心がけましょう。

歩き方

着物を着ているときは、重心を内側に傾け、少し内股気味で足を擦りながら歩くのがポイントです。こうすることによって、上品で美しく見えるだけでなく、着物の着崩れ防止にもつながります。

急がなければならない場面でも、大股で歩くとだらしなく見える上に、着物が着崩れしやすくなります。常に小股を心がけ、スタスタと歩きましょう。

座り方

着物で椅子に座る際は、背もたれにもたれてはいけません。慣れない着物を長時間着ていたら、思った以上に疲れてしまうので、ついつい背もたれにもたれたくなるものです。しかし背もたれにもたれると、着物の帯が崩れてしまうだけでなく、姿勢も悪く見えてしまいます。

椅子に座るときは浅く座って、骨盤をまっすぐ立てて背もたれに帯が当たらないように気をつけましょう。

手を伸ばすとき

着物を着た状態で料理を取るときや、電車のつり革を持つときなど、手を伸ばすタイミングに注意してください。手を伸ばす際は、反対側の手で袖口をつまみ、手先だけが出るようにするのがポイントです。

袖を押さえていないと二の腕や肘が丸出しになり、せっかくの着物姿が子どもっぽく見えてしまいます。また袖がものに引っかかったり、食事で汚れたりする恐れもあります。

手を伸ばすときに袖を押さえる仕草を忘れずできるか心配な場合は、着付けをした後に家で練習しておくのがおすすめです。

結婚式で着る着物をお探しなら会津若松市の呉服店「きもの大善屋」まで

今回は、結婚式で着る着物の種類や結婚式で着物を着る際の注意点、立ち振る舞いのポイントなどについてご紹介しました。結婚式で着る着物は、親族や友人、同僚などの立場によって変わります。上品な着物を美しく着こなして、大切な人のお祝いの場に華を添えましょう。

結婚式で着る着物にお悩みの場合は、会津若松市の呉服店「きもの大善屋」にお任せください。当店では、結婚式にぴったりの美しい着物を多数そろえております。着付けや立ち振る舞いについても丁寧にアドバイスさせていただきますので、ぜひお気軽にご相談ください。