着物の重ね衿とは?種類や付け方、色合わせの方法も解説

着物は、衿や袴、ポーチ、巾着など合わせる小物の種類が多く、どれをどのように合わせるべきか迷うかもしれません。そこで今回は、重ね衿にフォーカスして、種類や付け方、色合わせの方法について解説します。重ね衿の用途についても解説しているので、どの衿を購入すべきかわからない方はぜひ参考にしてみてください。

基本さえ押さえておけば、自分のイメージする着物姿を作れるだけでなく、TPOに合わせたアレンジもできます。理想像を頭に思い浮かべながら、各ポイントをチェックしてみましょう。

重ね衿とは?

重ね衿は伊達衿とも呼ばれ、2枚の着物を重ね着したように見せる役割があります。本来、礼装の慣習として着物を重ねていましたが、現代ではその名残から誕生した重ね衿(衿のみ重ねる)が一般化されました。

ただし、重ね衿は決してカジュアルなものではなく、現代においてもフォーマルな場(成人式など)で着用します。

半衿との違い

重ね衿と半衿の違いは次のとおりです。

【重ね衿・半衿の違い

項目 重ね衿 半衿
用途 装飾のため 汚れ防止
着付け ・着物の衿に縫い付ける
・着物と半衿の間
・長襦袢に縫い付ける
・肌に直接あたる部分
着物の種類 主に礼装
※お祝い事など
どんな着物にも対応

  ※長襦袢:着物と肌着(肌襦袢)の間に着るもの

重ね衿は複数の衿があるように見せる、装飾品として扱われます。一方、半衿はファンデーションや汗などの汚れを防止するためのものなので、それぞれ用途が異なります。

着用シーンも異なるので、用途を理解したうえで必要な衿を購入しましょう。

重ね衿を着物に付ける方法

重ね衿を着物に付ける方法について2パターンを解説します。

縫い付ける

着物に直接縫い付ける場合、以下の方法で重ね衿を取り付けます。

<縫い付ける方法>

  1. スナップボタンがあれば、あらかじめ留めておく
  2. 重ね衿を半分に折り、衿の中央と着物の背中心を合わせる
  3. 重ね衿が着物から5mmほど出るように調整する
  4. まち針で固定する
  5. 衿の中央部分と左右5cm離れた箇所(計3か所)を糸で固定する

着物の衿の後ろ側は、重ね衿が出ないよう調整しましょう。正面から見たとき、重ね衿が5mmほど出ている状態を目指してください。

ピンで付ける

着物に穴を開けたくない方は、ピンを使った方法で重ね衿を取り付けましょう。ピンでの取り付け方は次のとおりです。

<ピンで取り付ける方法>

  1. スナップボタンがあれば、あらかじめ留めておく
  2. 重ね衿を半分に折り、衿の中央と着物の背中心を合わせる
  3. 重ね衿が着物から5mmほど出るように調整する
  4. 衿の中央部分と左右5cm離れた箇所(計3か所)をピンで固定する

ピンは専用の衿ピン、もしくはヘアピンを使います。ピンで取り付ける場合も同様、正面から見て重ね衿が5 mmほど見えるくらいを目指しましょう。

重ね衿の種類

重ね衿は色や装飾など、デザインの異なる種類がいくつもあります。いくつか例を紹介するので、重ね衿を選ぶ際は参考にしてみてください。

レース・フリル付きタイプ

レース付きは、衿の両端に微細なレースがあしらわれ、エレガントな印象の重ね衿です。シンプルな着物にアクセントを付けられるため 、「少し個性を出したい」「コーディネートに遊びを加えたい」といった場合はレース付きの重ね衿を選択肢に加えましょう。

フリル付きタイプ

フリル付きの重ね衿は全体的にボリュームがあり、シンプルな振袖も個性的なイメージに仕上げられます。成人式や卒業式に着る振袖であれば、見た目の華やかさをプラスできます。

広衿タイプ

広衿タイプの重ね衿は、通常の衿の倍近い幅があり 、好みの幅に折って取り付けられます。単色ベースの製品が多いものの、柄入りタイプも販売されており、自分の好みに合わせやすい重ね衿と言えるでしょう。

取り付ける際は、長襦袢の衿幅に合わせつつ調整してください。

複数色タイプ

複数色タイプの重ね衿は2~3色でデザインされ、襟元のコーディネートを楽しめます。リバーシブルにデザインされる商品も多いので、その日の気分に応じた使い方もできるでしょう。

ただし、このタイプは衿の幅が狭く作られたもの(中心が狭く、先端が広い )もあり、縫い付ける際は衿を折る必要はありません。

ラメ入りタイプ

ラメ入りは、重ね衿の生地にラメが敷き詰められ、着物にアクセントを加えてくれます。シンプルな着物はもちろん、華やかな振袖もよりゴージャスな印象に仕上がるでしょう。

つまみ細工タイプ

つまみ細工タイプは、重ね衿に小さいブローチのような装飾が施され、さりげないおしゃれが楽しめます。つまみ細工は花柄がメインですが、椿や梅、桜など多種多様な種類があります。

自分の好みや着物のデザインと合わせられるため、個性を出しやすい重ね衿と言えるでしょう。

重ね衿と着物の色合わせ・色選び3つのコツ

重ね衿は着物を正面から見たときの印象を変えるため、次項で解説する色

合わせ・色選びのコツもチェックしておきましょう。

迷ったときは無難な白

どんなカラー・デザインがいいか迷う人は、あらゆる着物と合わせやすい白が無難です。振袖や訪問着、留袖など、ジャンル・シーンを問わず合わせられます。

レースやラメなど装飾の施された重ね衿であれば、シンプルながらも個性が出せ るコーディネートを目指せます。

着物のメインカラーに合わせる

着物のメインカラーと同系色の重ね衿であれば、全体的に統一感が生まれ、大人びた印象を作れます。たとえば、着物が赤やオレンジなど暖色系の場合、重ね衿は濃淡を変えた同じ暖色系 を選びます。

奇抜な見た目にならず、顔に明るさもプラスできるでしょう。着物より薄い色を選ぶと、上品な印象に仕上がります。

ただし、寒色系は顔の周りがくすんで見えるため、明るい色で合わせた方が無難です。

完全に同じ色は避ける

着物と同じ色を使ってしまうと重ね衿が同化してしまい、どちらも区別できないので注意してください。 「<h3>半衿との違い </h3>」でも解説したとおり、重ね衿は装飾として付ける衿です。

同化させてしまっては重ね衿の意味がなくなってしまうため、濃淡を変える、別の色を使うなど、着物とは違う色で合わせてください。

差し色・アクセントカラーを選ぶ

着物の差し色・アクセントカラーになる重ね衿を選ぶと、着物の色が引き立ち、全体が引き締まった印象に仕上がります。たとえば、暖色系の着物に青や緑の寒色系を合わせることにより、着物の華やかさが強調されます。

「金の着物×黒の重ね衿」「青の着物×ピンクの重ね衿」などバリエーションは豊富なので、好みに合わせて試してみましょう。

着物の着付けをお考えの方は会津若松市の呉服店「きもの大善屋」まで

重ね衿は着物を複数重ねて見えるよう取り付ける、装飾としての役割があります。振袖や訪問着など、着物を自分なりにアレンジできる装飾品と言えます。

多種多様な種類が販売されているので、「重ね衿と着物の色合わせ・色選び3つのコツ」を参考に、色合わせ・色選びのコツも押さえておきましょう。

重ね衿の選び方・着付けの方法がわからない方は、「きもの大善屋」へご相談ください。当店は、着物・呉服から和装小物まで、幅広いラインナップで商品を取りそろえております。

着物の無料着付けや着付け教室なども開催しているため、重ね衿の合わせ方・着付け方などもアドバイスさせていただきます。

 

大善屋ごあんない

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