会津木綿の歴史はいつから?伝統から素材としての特徴を知る!

着物・呉服に興味が出てくると、その素材についてよく知りたい方もいるでしょう。そこで今回は、会津木綿について、始まりから現代にいたるまでの歴史、素材としての特徴を解説します。

歴史を知ると、当時から受け継がれている技術や素材としての特徴がわかり、着こなし・扱い方まで深く理解できます。「和装についての理解を深めたい」「伝統工芸品の良さを知りたい」といった方は、ぜひ参考にしてみてください。

会津木綿とは

会津木綿は、福島県西部(当時の陸奥国会津郡)の伝統工芸品として伝えられてきた平織り物です。「伝統工芸品」というと堅苦しいイメージかもしれませんが、会津木綿は当時から野良着(農作業用の服)として親しまれてきました 。

現代においても、会津木綿は着物やシャツ、雑貨など幅広い用途に活用されています。1年中着られるラフな素材なので、気になる方は購入も検討してみましょう。

会津木綿の歴史

会津木綿の魅力を知るため、まずは歴史から見ていきましょう。会津木綿がどのように作られ定着し、現在まで残ったのか解説します。

始まりは1573年

会津木綿の始まりは1573年、当時の会津藩主「蒲生氏郷(がもううじさと)」が町の整備や復興を目指して綿花の栽培を開始したことがきっかけです。蒲生氏郷の前任地、伊勢松坂には松坂木綿と呼ばれる綿織物があり、この製織技術を伝えた ことで会津木綿の原型が作られています。

その後、江戸時代初期に藩主となった「加藤嘉明(かとうよしあきら)」が、前任地(伊予松山)から伊予縞と呼ばれるデザインを継承したことで、会津木綿が誕生しました。

また、会津木綿が広く普及したのは、1643年の会津藩主「保科正之(ほしなまさゆき)」が綿花栽培・木綿織物の生産を奨励したため です。保科正之の働きかけにより、会津一帯に機織りの仕事が定着し、会津は会津木綿の生産地として普及したそうです。

当時は野良着(日常着)として使われていた

会津木綿は、400年前から野良着(日常着)として地元民に愛されてきた綿織物 です。野良着とは、田畑を耕す際に着る衣服を指します。

会津木綿の生地は洗濯にも耐えられるほど丈夫で、夏は涼しく冬は暖かい特徴もあります。 着るほどに身体にも馴染んでくるため、当時から着用しやすい衣服だったようです。

会津盆地は季節による寒暖差が激しいエリア なので、こうした気候に合うよう発展してきた綿織物といえます。

明治から大正にかけて最盛期を迎える

明治時代に入り産業革命が起きた頃、会津木綿の生産方法は手織りから工場での機械化に移行しました。綿花の輸入量が増えたこともあり、明治から大正にかけて会津木綿の生産は最盛期を迎えたようです。

当時は30社ほどの織り元(織物の製造元)があったものの、戦時中の金属回収令により織機を供給したことで織り元は半減。 戦後に買い直しが行われましたが、生産縮小を余儀なくされました。

現在(2024年時点)、会津木綿の織り元は3社残っています。

現在は多彩なアレンジで親しまれる

現代において、会津木綿は着物だけでなく、以下のようなファッション・雑貨などにもアレンジされています。

<会津木綿のアレンジ>

  • シャツやパンツ
  • トートバッグ
  • ストール
  • 風呂敷
  • スリッパ

会津木綿は、その丈夫さから衣服以外にもアレンジされ、商品として販売されています。織り元によっては、デザイナー・アーティストとコラボレーションしたアイテムもあります。

身近に使えるものが多いため、会津木綿に興味のある方は雑貨やファッション小物などの購入も検討してみてください。

バリエーション豊富な柄

現在、会津木綿の定番柄は約50種、カラーバリエーションも含めると200種以上 が展開されています。その中の一例を見ていきましょう。

<会津木綿の柄>

  • 棒縞:ベージュをベースとした生地に細い紺色のストライプ
  • 大名縞:太い黒と細い青のストライプ
  • はで縞:赤や紫、青といった多色なストライプがあるものの、浮かない派手さのない柄
  • 柿縞:黒、赤、緑の縞が並び、モダンな印象の柄

織り元によって柄のバリエーションは異なるため、気に入る柄がないかHPなどでチェックしてみましょう。

会津木綿の特徴

次項では、会津木綿の特徴について解説します。これまでの歴史も踏まえつつ、会津木綿への理解をより深めていきましょう。

会津木綿ならではの素材感

会津木綿の特徴は、素材としての立体感が感じられることです。会津木綿が手織りで作られていた頃、糸の太さは不均一で、横糸が節のように浮き出ていました。

この会津木綿ならではの素材感を現代でも守るため、あえて節のある横糸が使用されています。伝統工芸品としての風合いがあり、現代にも引き継がれる会津木綿としての特徴です。

1年を通して着られる素材

会津木綿は生地の中に空気が入りやすく、吸汗性・保温性に優れる素材です。会津木綿の生産工程では、経糸の糊付けを行い、そこに横糸を織り込む工程があります。

糊付けを行うことで経糸と横糸に細かい節が生まれ、空気の層が作られる仕組みです 。衣類における空気の層は防寒着のような役割を果たし、温められた空気をまとうことで体温を保つ効果に期待できます。

一方、温められた空気を外に逃がすことができれば、暑い時期でも涼しく過ごせます 。江戸時代から明治にかけて野良着として着用されていた理由も、夏は涼しく冬は暖かい会津木綿ならではの特徴があったためです。

家庭で洗濯しても縮みにくい

会津木綿は、家庭用の洗濯機で洗濯しても縮みにくい強固な生地です。もちろん、ある程度の縮みは出てくるものの、他の平織り物より気兼ねなく着用・洗濯できるでしょう。

着物として着用する場合、縮み具合も想定し、仕立てる前に洗濯を行い縫製する 必要があります。

色落ちしにくい

会津木綿は色落ちしにくい染料(藍染めを除く)が使われ、洗濯しても購入時の状態を維持しやすい生地です。 ただし、あくまでも「しにくい」というだけなので、初回の洗濯は他の洗濯物とわけて洗いましょう。

また、浸け置きや漂白剤などを使わなければ、色落ちを防ぎつつ、きれいな状態を維持しやすくなります。

着ていくうちに肌に馴染む

会津木綿は、洗濯・着用を繰り返すことで、肌に馴染む生地です。着始めた頃は生地の硬さが気になるかもしれませんが、徐々にフワッと柔らかくなり、自分にフィットした着心地に変化します。

さらに、会津木綿ならではの縞柄も、着れば着るほど味わい深くなります。 ジーンズのように「着て育てる」楽しみを実感できるのも、会津木綿の特徴といえるでしょう。

和装をより深く知りたい方は会津若松市の呉服店「きもの大善屋」まで

会津木綿は、古くから会津(福島県西部)で親しまれてきました。当時から日常的に着られる素材として活用され、それは現代でも同じです。着物はもちろん、ファッション小物や雑貨などバリエーション豊富に活用されています。

しかし、知識だけでは、実際の和装を理解するのは難しいでしょう。「きもの大善屋」では、呉服や小物、雑貨の販売はもちろん、着付け教室も開催しています。着物を楽しむ会も開催しているので、より和装を深く知りたい方はぜひ当店まで足をお運びください。

仕立て直しやコーディネートのアドバイスなど、着物・呉服に関わるご相談も受け付けております。

大善屋ごあんない

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